弁理士試験は短答試験、論文試験、口述試験の三段階の試験が課される。
最後の口述試験は、面接形式の試験であり、試験官と①特許法・実用新案法、②意匠法、③商標法の3つの科目について問答をする。
決められた時間内に答えきれない科目が2つあると不合格と言われている。
口述試験のここ2~3年の合格率は95%前後と高い。
しかし口述試験は、合格率が10%前後の短答試験および25%前後の論文試験を合格した者だけが受験できる試験である。
そのため、難関を突破した実力が十分ある者でも、毎年5%程度は落ちる試験ということであり、油断できない試験である。
そこで、今回は口述試験対策を紹介する。
1. まずは過去問を使い傾向を知る
例年7月に論文試験が終わり、論文試験の結果が9月末に出る。
約2~3か月の間が空くことになるが、その間は過去問を使った勉強がおすすめである。
私はまず予備校が出している口述試験の過去問を購入し、10年分ぐらいの過去問をざっと見て口述試験の傾向をつかむようにした。
短答試験や論文試験の勉強をやっていた人なら、口述試験の過去問は負荷が少ないと感じるだろう。
余力があるならば、問題に関連する青本の解説を読むこともおすすめである。
青本は全部を読まずに問題に関連するところを中心にまずは読むべきである。
(初めから読んでも、読んだのに頭に入っていない状態になる)
2. 休みを挟みつつでも勉強は続ける
論文試験が終わったことで燃え尽きる人もいると思うので、英気を養うためにも勉強しない期間を設けてゆっくり休んでもよいと思う。
私も大体8月のお盆休み明けぐらいから口述試験の勉強を始めた。
また、論文試験の発表があるまでは1日あたりの勉強量はそこまで多くしなくてもよいと思う。
私は大体1日あたり1~2時間くらい勉強していた。大事なのは無理なく勉強を続けることである。
論文試験は相対評価であるため、試験の手ごたえがなくても、合格する可能性はある。
そのため、少しずつでいいので過去問を使って口述試験の準備を進めておくことをおすすめする。
論文試験の合格発表後は時間が限られており、模試や練習会でいっぱいいっぱいにもなるので早いうちから対策するに越したことはない。
3. 人との練習がおすすめ
口述試験は、試験官が読み上げた問題に対し、口頭で答える試験になる。
短答試験や論文試験のような筆記試験とは形式が異なるので、早めに口述試験の形式に慣れておく必要がある。
過去問を一通り見終えて傾向がわかったら、人に問題を読み上げてもらい、自分の口で答えを言うという実践形式の練習を早めに取り組むことをおすすめする。
自分の口で答えを言うのは意外と難しいと感じるはずである。
やる気が出づらい時期でもあるので、受験生同士で集まって過去問を出し合う勉強会を開くと、モチベーションの維持にもつながり良い。
勉強仲間がいない場合も、X(旧Twitter)のようなSNSで募るのも手である。
オフラインで会う必要はなく、ZoomやLINE電話によるオンラインのやり取りでも十分練習になる。
あるいは家族や友人に頼るのも手である。
私も家族に過去問を渡し、問題文を読み上げてもらい、答えを言って解答を確認してもらうというのをやっていた。
3. 予備校の模試や会派の練習会
論文試験の合格発表が9月末にあるが、その後は予備校の模試や日本弁理士会の各会派が主催する練習会に参加することになる。
いずれも参加できる枠に限りがあるので、論文試験の合格がわかったら、早く申し込む必要がある。
予備校の模試は本番に近い形式で緊張感を持って練習できるだけでなく、予備校の先生に自分のできを客観的に評価してもらえる。
また、終わった後に予想問題集ももらえるので直前期の復習に役に立つ。
会派の練習会には
などが主催の練習会がある。会派によりオフライン形式かオンライン形式かが異なる。
練習会の案内の多くはX(旧Twitter)で告知される。意外と早く枠が埋まり、続々と締め切られるのでチェックが必要である。
4. 試験会場の下見
ここ数年の口述試験は、ザ・プリンス パークタワー東京のホテルで行われている。
都内周辺に住んでいる場合は本番前に一度下見に行くのも良い。
春秋会が主催する練習会は上記のホテルで行っており、会場の下見ができる。
本番の試験と同様、ホテルの客室を使うので、本番の流れや雰囲気をイメージできて良い。
参加費が1万円少々するが、お金に余裕がある場合はおすすめである。
まとめ
口述試験の対策としては
- 過去問を使って傾向を把握する
- 早い段階から人と練習し、口述試験の形式に慣らす
- 予備校の模試や会派の練習会に参加する (枠がすぐ埋まるので注意)
最後まで読んでいただきありがとうございました。