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令和5年度弁理士試験は難しかったか? 統計とともに振り返る

令和5年度弁理士試験の合格者数や合格率などの統計が特許庁より公開されました。

www.jpo.go.jp

 

令和5年度に限らず、過去の試験の統計についても同様に特許庁から公開されており、統計データに基づき試験の傾向を知ることができます。


今回は、特許庁から公開されている上記の統計を引用し、弁理士試験の近年の傾向と実際に受験した感想を簡単に述べます。

 

1. 統計データに基づく所感

令和5年度の弁理士試験の合格者数は188人でした。合格率は6.2%非常に難しい試験と言えます。令和3年度、4年度の合格率がともに6.1%でしたので、令和5年度はホンの少し改善したものの、やはり例年通り難しい試験だったと思います。

 

合格者の平均的な受験回数も2.8回と、複数回挑戦して合格する人も多い印象です。

 

近年(令和元年〜5年度)の傾向で見れば、平均受験回数は減少しており、短期間で合格する人の割合が増えています。特に、初回合格者の割合は増えており、令和元年度は6.7%であったのに対し、令和5年度は16.5%です。また、若い人(20代)や女性の合格者の割合も近年増えてきています (令和5年度はともに3割を超えています)。

 

弁理士試験は短答式試験論文式試験口述試験の3段階の試験があります。各試験の近年の合格率(通過率)はおおよそ10%、25%、95%前後です。短答式試験の通過率が最も低く、短答式試験を合格(通過)しないと論文式試験を受けることはできません。

 

以下、各試験の特徴と受けた感想を述べます。

 

2. 短答式試験

短答式試験はいわゆるマーク試験です。60点満点のうち39点以上で合格(通過)で、次の論文式試験に進めます。令和5年度の短答式試験の合格率(通過率)は12.4%で、マーク試験であるにも関わらず非常に難しい試験と言えます。

 

難しい理由としては、特許法、意匠法、商標法、著作権法など、問われる法律の知識が膨大であるという問題そのものの難しさに加えて、以下の点が考えられます。

  1. 過去問と似た問題がほとんど出ない
  2. 消去法で解けない問題がある

 

1つ目について、他の資格試験(例: 応用情報技術者試験)だと、マーク試験において、過去問を流用した問題やその類題が多く出題されることがあります。

一方、弁理士試験では、過去問によく似た問題はそこまで出題されません。正確に言うと、本質的には過去問と同じポイントが問われているが、聞き方・問われ方が過去問と異なり新作っぽく感じてしまう問題が出題されているイメージです。

また、法律自体も時代に合わせて年々改正され続けています。そのため、過去問の答えの解釈が、現時点で変わることもあります。過去問をたくさんやるために古めの過去問をやるときは解説を読む際に注意が必要という点が、他の資格試験には無い特徴だと思います。

 

2つ目について、5つの文のうちから正しい/間違っている文を1つ選ぶ、いわゆる消去法が使える問題の他に、正しい/間違っている文はいくつあるかを答える問題が出題されます。いくつあるかを答える問題では、自信がない文が1つあるだけで、正しい/間違っている文の数が合わなくなり、間違いとなるため受験生の正答率も下がります。

 

3段階の試験の中で最も通過率が低いので、最も力を入れて勉強しました。また、最初の試験に当たるため、一番緊張しました。

 

3. 論文式試験

論文式試験は、特許法などの知的財産権法の知識を問う必須科目と、理系の専門性or民法に関する問題を選択して答える選択科目からなります。そのうち、選択科目は大学院の修士課程を修了していたり、特定の資格(例: 応用情報技術者)を有していたりすると免除されます。私も選択科目は免除となり、必須科目のみ受験しました。

 

必須科目は偏差値換算した後の点数で平均54点以上を取ると、合格(通過)となります。偏差値換算という相対的な基準であり、論文式試験の例年の通過率は25%前後ですが、令和5年度は28.0%と例年より若干高かったです。

 

問題そのものの難しさに加えて、答案をボールペンで書かなければならない点が難しかったです。シャープペンシルフリクションボールペンで答案を書くことはできず、間違えた場合は二重線で取り消し、別途書き直す必要があります。回答用紙のスペースには限りがあるため、問題文を読み間違えて大々的に回答を二重線で取り消すことになると回答スペースが無くなるだけでなく、それまで回答を書くために使った時間も無駄になります。そのため、問題で問われているポイントを正確に把握し、回答を書くことが求められます。

 

3つの試験の中で最も苦手であり、自信もなかったです。そのため、合格とわかったときは一番嬉しかったです。

 

4. 口述試験

口述試験はいわゆる面接試験のようなものです。①特許法・実用新案法、②意匠法、③商標法の法律知識や事例問題に関し、試験官と口頭でやり取りをします。①〜③の科目うち、決められた時間内に最後の問題まで答え切れない科目が2つ以上あると不合格と言われています。

 

ここ最近の口述試験の合格率は95%前後と高く、令和5年度も94.3%でした。

 

最後の試験のため、すごく緊張しましたが、時間内に一通り答え切れたので試験が終わった後も問題ないだろうと感じていました。

口述試験の会場はザ・プリンスパークタワー東京のホテルでした。

試験当日は天気も良く、次に来るときはぜひ泊まってみたいと思いました。

 

最後に

短答式、論文式、口述の3種類の試験を受けましたが、個人的に感じた難易度はそれぞれ超難、超難、難でした。いずれの試験もすごく難しく、もう二度とやりたくないというのが正直な感想です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。