弁理士試験の勉強では、過去問を使った勉強が有効であり、勉強の中心になります。
過去問を解くことで本試験で繰り返し問われる重要事項や論点を把握することができます。
加えて、予備校が行っている模試や答練を使った勉強も有効です。
過去問で問われたことがある重要事項だけでなく、未出題の論点・条文についても模試や答練を通して触れることができます。
今回は模試や答練を受ける意味と向き合い方について私なりの考えを述べます。
このブログの筆者について
- 働きながら約1年半、予備校に通い勉強
- 弁理士試験に1回で合格 (一発合格)
模試や答練を受ける意味
時間配分や試験当日の過ごし方の確認
模試は「模擬試験」ですので、模試を受けることで試験本番の時間配分や当日の過ごし方を確認することができます。
最近では模擬試験の会場に行かずとも自宅や図書館で各自受験し、回答を予備校に送ることで採点してもらえ、成績表を出してもらえるようにもなりました。
自分の予定に合わせて時間を調整して受けられる点や会場に行く時間を省ける点などの利点がある反面、自分を律することをしないと、緊張感なく何となくダラダラ受けてしまうこともあります。
模擬試験会場に行くと他の受験生がたくさんおり、周りで勉強している人を見るとすごく刺激にもなります。
そのため、1回は模擬試験会場の緊張感のある雰囲気の中で受けることをおすすめします。
出題範囲の習熟度の確認
予備校が行う答練は出題範囲が決まっています。
そのため、答練のできを通し、出題範囲の習熟度を確認することができます。
一度学習したことがある範囲は解答・解説を見れば理解できる状態であっても、いざ問題として出されて自分で考えて答えを出そうとするとできないことは多々あります。
そのような自分が十分に習熟できていない範囲を確認することができます。
注意点として、模試は出題範囲が広く(全範囲であることも多く)、過去問の勉強が十分できていない人にはおすすめできません。
過去問の勉強が十分できていない段階の人が模試を受けても、わからないことだらけであり、解答・解説を読んで理解するのに時間がかかります。
予備校で模試や答練の日程があらかじめわかっているときは、受ける前に出題範囲の勉強を過去問を使って一通り終わらせておくのがおすすめです。
ペースメーカーやモチベーションの維持
模試や答練の日程に合わせて勉強計画を立てることでペースメーカー代わりになります。
定期的に受けることでマイペースな勉強(特定の分野に偏った勉強)を防ぎ、弁理士試験の出題範囲を満遍なく触れることができます。
また、他の受験生(母集団)の回答や成績と比較することでモチベーションの維持にもなります。
自分が解いた問題に対し、受験生の正答率も公開してくれるので、「自分は間違えたが他の受験生が正解している問題」のように優先して復習すべき問題を把握できます。
模試や答練によっては優秀者の成績や(論文試験の)回答を公開してくれるときもあり、受験生が目指すべきゴールがわかります。
模試・答練との向き合い方
模試は模試であって、試験本番とは別物です。
模試で良い点を取ったからといって、試験本番も良い点を取れるとは限りません。
大学受験のような入学試験のときと同様、模試でA判定を取っていても、試験本番のできが悪く落ちる人はいます。
特に、弁理士試験の短答試験と論文試験では、基準点よりも著しく低い科目があった場合、不合格となる「足切り」が存在します。
模試や答練で調子が良くても、特許庁が作成した試験本番の問題で特定の科目が思ったようにできず、調子が崩れて不合格となることは全然あり得ます。
模試は模試、本番は本番なので、模試や答練のできが悪くても必要以上に落ち込む必要はないです。
間違えた問題や覚えが悪かったところを目安にして復習し勉強を続けることが一番大切です。
最後に試験ごとに模試・答練との向き合い方を簡単に述べます。
短答試験
模試や答練の問題の中には、過去問をそのまま出したり、微修正して出し直したりしていることがあります (例: 問題文の主語や述語を変えて〇×を変更)。
過去問の類題の場合は過去問の習熟度の確認に使います。
間違えた場合は予備校が出している過去問の問題集を使い、類題と合わせて復習すると効果的です。
一方で、過去問に出たことのない論点や条文の問題が出題されることもあります。
予備校が作った新作問題になるわけですが、出典を確認しながら復習すると効果的です。
条文そのものや青本の該当箇所、あるいは法改正ネタなど、新作問題を作る際に予備校が参考にした資料というものが存在するはずなので、由来となった資料にも目を通すのがおすすめです (が、時間がない場合は問題の解説を読み込むのでも十分です)。
論文試験
短答試験の模試や答練と違い、過去問がそのまま出ることはないですが、過去問の応用(変形)問題が出ることはあります。
そのため、問題を解く/復習する際に「この問題は何を参考に作られたか?」を考えると解きやすい/復習しやすいです。
過去問の勉強が十分進んでいると例えば「平成〇〇年の最初の問題を参考に作ったな」とわかり、回答の方向性を考えたり、復習の際に見るべきポイントがわかったりします。
過去問には出たことがない新作の問題である場合でも、短答試験と同様に、予備校が問題を作る際に参考にした何かしらの出典があることがほとんどです (青本、改正ネタ、司法試験-知的財産権法の問題など)。
出典を考えながら解く/復習するとスムーズなのでおすすめです (私が受験生時代に良くやっていました)。
口述試験
答練はなく、模試のみですが、口述試験の模試は短答試験や論文試験と違い、場慣れ・雰囲気慣れのために受けることをおすすめします。
口述試験で問われる知識は短答試験や論文試験で既に勉強したことがある内容ばかりですが、耳から問題を聞き、答えを口に出して回答するという手順に慣れていないと意外と上手く答えられません。
受験生同士で練習することで徐々に回答も上手くなっていきますが、本番前に模試を通し、緊張感のある会場にて予備校の先生と問答する機会を経験しておく方が良いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。